HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

朱に交われば「日本で一番悪い奴ら」

朱に交われば赤くなる、少しずつ主人公の持つ正義というもののあり方が変わってゆく作品。

「日本で一番悪い奴ら」

f:id:HAL8192:20180622172429j:image

 

あらすじは大学時代に鍛えた柔道の腕前を買われて道警の刑事となった諸星は、強い正義感を持ち合わせているが、なかなかうだつが上がらない。やがて、敏腕刑事の村井から「裏社会に飛び込み『S』(スパイ)を作れ」と教えられた諸星は、その言葉の通りに「S」を率いて危険な捜査に踏み込んでいくが……引用元 映画.com


本当にあった事件を元にしているためか、ある意味リアリティはたっぷりとあった。少しずつ朱に染まってゆく主人公の登りつめてからの転落劇が見事。


それにしても悪の描き方が上手い。なぜなら、主人公サイドが徐々に悪に落ちていくから、バランスが良いからだ。


とにかくこの映画は主人公の変貌っぷりを楽しむ映画とも言える。本当に純粋に「正義」のために努力している青年が変わって行く様が素晴らしい。


序盤の先輩から教わった「正義」とは何かという問いを徐々に壊れながら進んで行くのはなんとも見事。


周りを固めるキャラクターも個性豊かであり、人間的に欠落がある人ばかりが上手く配置されている。それが主人公との相互作用を生み出しやすいようにキッチリ配置されているのも見事だ。


ストーリーは現実をベースにしているらしいが、本当に「悪」に満ち溢れている。それでも、自分は「正義」だと思いながら愚直に突き進んで行く様は異常で素晴らしい。


また、バイオレンス描写もエロ描写もなかなか激しいものがあった。ここは当然見所でもある。

 

また舞台が北海道というのもある意味重要で、内地と切り離された文化圏である感覚が見事に表現されていた。


そして、実話ならではの事件の真相を語って終わるが、これがなんとも隠蔽体質になって終わっており、ある意味、この映画らしく一番の巨悪は誰なのか?というものを見せてもいる。

 

総論としては徐々に道を踏み外す主人公の行動を描き続け、それによって得られる成功もあるが、そんな生半可な内容には仕上がっていない。転落劇としての終わり方と膿が出切っていない後味の悪いこの作りがなんとも良い出来だと思わされる作品だった。

美しき同性愛「キャロル」

美しい愛というものは性別に関係なく訪れるという作品。「キャロル」

f:id:HAL8192:20180621120736j:image

あらすじは52年、冬。ジャーナリストを夢見てマンハッタンにやって来たテレーズは、クリスマスシーズンのデパートで玩具販売員のアルバイトをしていた。彼女にはリチャードという恋人がいたが、なかなか結婚に踏み切れずにいる。ある日テレーズは、デパートに娘へのプレゼントを探しに来たエレガントでミステリアスな女性キャロルにひと目で心を奪われてしまう。それ以来、2人は会うようになり、テレーズはキャロルが夫と離婚訴訟中であることを知る。生まれて初めて本当の恋をしていると実感するテレーズは、キャロルから車での小旅行に誘われ、ともに旅立つが……引用元 映画.com


ある意味、偶然の出会いから始まる同性愛の物語だが、それを1950年代にして、レトロでありながら普遍性を持った恋愛物語に仕上がっている。

 

とにかくキャロルという女性の愛の力によって、物語は推進され、とても魅力溢れるキャラクターに仕上がっている。とても不思議な色気のしたキャラクターになっている。


しかし、キャラクターのリアリティや過去の造形には恐れ入った。LGBT映画において、「我が子」がいるというのは少し考えればあり得る話なのにそこをしっかりと描いていて奥深いものがあった。


それでも惹かれ合う愛情の美しさは映画内でも魅力的で、それでいて夫の目線からもキッチリ描かれており、LGBTに対するというよりも一つの愛に対して誠実に感じられた。


しかし、なぜ恋に落ちるのかの魅せ方が綺麗で愛おしい出来栄えだった。一つ一つの誘い方や見せ方が本当に上手い。

 

また、テレーズの演技が本当に恋する乙女で非常に可愛らしい。あまりにも可憐だ。仕草ひとつひとつが儚げで、彼女の撮る写真が彼女の心の内側を表していて、とても繊細な心情表現もこなしている。

 

また、物語内推進力が高く、一つ一つの事柄が印象的に配置されており、ストーリーの面もレベルの高い出来栄えになっている。


そして、物語の最後は非常に開かれた終わり方をしており、観客に解釈を任せる良い終わり方だった。

 

総論としては、非常にレベルの高い同性愛を描いた映画でいて、きっちりと恋愛映画として描かれており、出来栄えは良かった。特に、キャロルという複雑な人物像を非常に豊かに表現していて、見ていて心惹かれた。LGBTをしっかり映した美しい恋愛映画だ。

就活という通過儀礼「何者」

就活という一種の通過儀礼の物語。

「何者」

f:id:HAL8192:20180621210014j:image

 

あらすじは演劇サークルで脚本を書き、人を分析するのが得意な拓人。何も考えていないように見えて、着実に内定に近づいていく光太郎。光太郎の元カノで、拓人が思いを寄せる実直な瑞月。「意識高い系」だが、なかなか結果が出ない理香。就活は決められたルールに乗るだけだと言いながら、焦りを隠せない隆良。22歳・大学生の5人は、それぞれの思いや悩みをSNSに吐き出しながら就職活動に励むが、人間関係は徐々に変化していく。引用元 映画.com


五人の人物が就活に向けて、集団で対策するというのが軸であるが、この基本骨格がガラガラと崩れてくる。

 

とにかく彼らの関係性がなんとも微妙な関係性であったが故に、微妙に「内定」というものによって左右されるのはなんともまあリアルだった。最低でも就活をトランプのダウトだと言う例えが劇中でも出てくるが、それが絶妙にこの関係性を表しているようで、嘘と本当に満ちている。


というか就活という見たくない現実がありありと見せつけられ、リアリティある演出で、ある意味しんどくなる瞬間もあった。


SNS時代の演出が凝っていて、なかなかに厳しい心情表現になっていた。とにかく、メールアドレスから逆算して特定するとか気持ち悪い。

というか鍵垢で愚痴るか、それ専用のメールアドレスを取って、裏垢にするべきだろ……

 


そして、全員ある秘密があると言うか、その点が意外とビックリさせられた。ここの部分は上手いと思わされた。そういえば、そう言えばそうじゃないとおかしいのか……


主人公の性格の悪さはある意味、観客の視点であり、なかなか思うところがあった。ここを強力に魅せてくれるのは意地が悪いが、そこも面白みだからある意味良かったが、何度も見返したり客観視したりするのはキツイ。


ちなみに音楽担当の米津玄師さんは作品関係なく、現代性を象徴していてある意味、特別に感じた。

 

総論としてとにかく、就活という大きな流れの中で「自分」というものは何かという問いかけをしてる作品だった。意外と短い時間で、このキツイ現実を叩き付けてくるのは、上手い出来栄えだったとも言える。

痛みが見える映画「世界にひとつのプレイブック」

主人公の痛みをありありと見せてくる映画。

世界にひとつのプレイブック

f:id:HAL8192:20180616103113j:image

あらすじは妻の浮気が原因で心のバランスを崩したパットは、仕事も家も失い、両親とともに実家暮らし。いつか妻とよりを戻そうと奮闘していたある日、事故で夫を亡くして心に傷を抱えた女性ティファニーに出会う。愛らしい容姿とは裏腹に、過激な発言と突飛な行動を繰り返すティファニーに振り回されるパットだったが…… 引用元 映画.com


ラブロマンス物に分類されるタイプの作品だが、主人公は前の奥さんに未練タラタラで最近精神病院から出てきたばかり、そんな時のひょんな出会いからティファニーというかなり際どい女性と知り合う。


この物語は躁鬱病の主人公とちょっと荒れているティファニーとの物語なのだが、二人の変人描写、というかもうどうしようもない感情が爆発する瞬間が素敵だった。


ある意味喧嘩をしているのだが、お互いの心の距離を探り合っていて、とても可愛らしいコミュニケーションだった。

 

それが痛々しい時もあるけれど、それだからこそ観客に響く物があるというような強い芝居が見られれた。


その手段として中盤以降ある取引と交換に「ダンス」を二人ですることになるのだが、これが二人の距離を物理的にも精神的にも縮めている。


また、脇を固めるキャラクター描写もユニークだが、ギャンブル狂の父親が物語を何度も前進させていてよかった。


ストーリーも無理なく、進んでいながらキャラクター性を掘り出していて、上手い構成だったと言える。特にティファニーの会話の構成は見事で、敵対者として登場するようでもありながら、内面にひどく訴えてくる台詞を言っていたりする。


普通のラブロマンスよりも、変わった人をテーマにおいているからか、正直着地は難しいかと思ったが、綺麗に収まっていて見事だった。

 

総論としては少し変わった人々・痛みを味わった人々の恋愛模様をキッチリと描きこみ、それでいて綺麗な脚本に落とし込んだのは見事だと思う。とにかくステキな終わり方だった。

実写化???「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」

まさかの本家の実写化作品。

スーパーマリオ 魔界帝国の女神」

f:id:HAL8192:20180616074017j:image
本当に配管工を主人公にして、スペクタルアクションを繰り広げる作品。というかオリジナル要素を取り入れつつも作ったパロディ映画の分類に近い。

 

設定は6500万年前に地球に隕石落下が起こりそれによって世界が二分割されたところから始まり、恐竜が知能を持った世界にマリオ御一行が迷い込むと言った内容だ。


この設定そもそもがおかしい。突っ込み始めたら画面内におかしなところしかない。例えば別世界なのに英語語がバリバリ通じるところやルックスがどう見ても人間にしか見えない連中がほとんどなところ、世界はどういう位置付けで宇宙に存在しているのかなど、なんの説明もなく完全にノリと勢いで進んで行く。


そんななか異常に活躍するのが、ルイージ!実質彼が主人公だろう。原題はマリオブラザーズだったからだろうが、ここまでカッコいいルイージは見たことがない。


まあ、もともと意味不明な話の実写化故に映像は無茶苦茶だ。フラワーやキノコがドラックの隠喩と言われるだけはある。最低でもこの映画を鑑賞している最中はそういった都市伝説を信じたくなるような頭のネジがぶっ飛んだ描写の数々ばかりだ。


しかし、話そのものはB級感満載の出来で、退屈させる事なく魅せてくれ、とても楽しませてくれた。単純明快かつ馬鹿げたアクションは退屈させることなく、画面いっぱいに走り抜けていく。


あと、最後のツッコミどころとしてヒロインはなぜかデイジーで、ピーチは出てきません。なぜ???

 

総論としては完全にふざけ切った作品で、マリオ好きなら激怒してしまうかもしれない描写のオンパレードだ。けれど、ひとつのパロディ映画としての完成度は馬鹿馬鹿しい程高いというかくだらなさすぎて素晴らしい。こういった作品は今後作られることはなくなる一方だろうから、歴史の闇の部分を見たくなったら鑑賞して馬鹿げた事やってるな〜と思うのがいいだろう。

圧倒的画面内情報量「犬ヶ島」

圧倒的画面内情報量とその美しさ。

犬ヶ島

f:id:HAL8192:20180618202257j:image

あらすじは近未来の日本。メガ崎市で犬インフルエンザが大流行し、犬たちはゴミ処理場の島「犬ヶ島」に隔離されることに。12歳の少年・小林アタリは愛犬スポッツを捜し出すため、たった1人で小型機を盗んで犬ヶ島へと向かう。引用元 映画.com


とにかく画面内の情報量とその内容の質の高さに驚かされるストップモーションアニメだった。


制作に四年もの歳月をかけて作り上げられた世界観はとにかく、魅力的な近未来日本に仕上がっていた。


内容は犬を巡ったある意味荒唐無稽な内容で、こんな話ある訳ないと思わされる設定に、ただただ「絵」の魅力で無理を押し通す。


それを可能にし、むしろその無茶苦茶さ加減を魅力とする手腕は素晴らしいとしか言いようがない。とにかくその世界観に圧倒され、魅了される。場面場面でのショットが本当にその空気感を作り出していて、物語に深みが出ている。


ストーリーはある意味、シンプルだが、話運びは軽やかだし、台詞選びも素敵なものが多い。また、アニメーションならではのコメディカルな演出や見栄を張るシーンが特徴的に盛り込まれていて楽しいところが盛りだくさんだ。


さらに日本映画リスペクトシーンが多々あり、監督が作り出したい世界観が本当に素敵に思えた。


キャラクターは個性的な面子ばかりで、とても良いし、感情の揺れ動きがバッチリ描かれていてこれまた良かった。また、マペット故のデフォルト化されたキャラクター造形が細い良い仕事をしており、愛おしい出来に仕上がっている。


また、画面いっぱいに散りばめられた魅力的な情報の数々がとにかくクスリとさせられる。ある意味情報過多だが、ここは好みが別れるだろうが何度も見たくなる出来だと思う。特に日本語で描かれている落書きの言葉なんかとても良い。


とにかく世界観が本当に独創的で、ある意味この世界感が受け付けないなら初めから無理な決して万人受けはしない内容だが、ハマる人はとことんハマる内容になっている。

 

総論としてはある意味、完全にぶっ飛んだ世界観を楽しめるかどうかに掛かってくる作品だと思う。近未来の日本のゴミの島で犬達が隔離されるという極めて、奇妙な物語を緻密に作り込んだ作品を面白いと思えるかどうかだ。

 

最低でも私には、ここまで作り込んだストップモーションアニメは製作陣の愛情を感じずにはいられない出来栄えだった。

 

ファミリー映画?「デッドプール2」

ファミリー映画(R指定)という内容だった。いや本当に家族向けの映画に仕上がっていて、驚かされる。(冗談じゃなく本当に)

デッドプール2

f:id:HAL8192:20180617161058j:image

 

あらすじは最愛の恋人ヴァネッサを取り戻し、お気楽な日々を送るデッドプールの前に、未来からやってきたマシーン人間のケーブルが現れる。ヴァネッサの希望を受けて良い人間になることを決意したデッドプールは、ケーブルが命を狙う謎の力を秘めた少年を守るため、特殊能力をもったメンバーを集めたスペシャルチーム「Xフォース」を結成するが……引用元 映画.com


前作以上のボリュームでかまされるボケの数々は正直、ストーリーを歪にする程だけれど、これぞデッドプール節といった印象でむしろ好感が持てる。

 


それでいてストーリーの骨格そのものはしっかりとしたヒーロー映画としていて実にカッコいい仕上がりになっている。


また、予算が増えたお陰か、アクションシーンの出来栄えが格段に上がっており、仕上がりは確かな出来栄えだ。


それでいて、キャラクターの立ち方はよく、主人公はもちろんのこと、ケーブルという未来から来た男というキャラクターがしっかりと魅せてくれる。また、ドミノという運を操るキャラクターも能力に見合ったステキなアクションを見せてくれる


また、中盤に作られるチーム結成描写もコメディ満載で素晴らしい。本当に無能集団を作ってどうするつもりなのか……


そしてラスト、本当にどうかしていると思われる内容のシーンの連続、これが意外と良かった。ギャグ満載ながら、物語の芯の部分にキッチリと触れつつ、シリアスな展開で感動させてもくる。


そしてマーベル特有のオマケコーナーでは本当に笑わせてもらった。(もう緑というだけで笑わせてくれる)

 

総論としては、過剰なまでにギャグとアクションを大盛りにした続編ながら、ストーリーも意外とキッチリまとめて来たなという印象の作品。完全にギャグに走っているシーンや間延びしたパロディもデッドプール節だと割り切って見ることが出来ればかなりの良作。