HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

行き場のない暴力。 「ブロンソン」

行き場のない暴力。

ブロンソン

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あらすじは1974年、19歳のマイケルは有名になるため、自作した散弾銃で郵便局を襲撃する。すぐに逮捕されたマイケルは7年間の服役を言い渡されるが、刑務所でも理由なき暴力を繰り返し、26年後にようやく出所を許される。かつての刑務所仲間の紹介で地下ボクシングの世界に飛び込んだマイケルは、「チャールズ・ブロンソン」のリングネームで活動を開始するが…… 引用元 映画.com

 

ただ有名になりたいから、それだけが目的で暴力の力を行使する。それは自傷する自分自身だ。力でねじ伏せる事に何の意味があるのか?


とにかく過激な暴力とその報いを繰り返し繰り返し受け続ける。それでは何も変わらないとわかっていながら、そうしないと生きていけないように……


ストーリーは主人公の一生を過激な暴力描写と共に見せていく。そこに等身大の人間の弱さとそれでも理解されたい承認欲求とが入り混じっている。


主人公の承認欲求はとんでもなく、例え刑務所の中でも消える事のないものだ。それが人間味を見せているが、やっていることは狂人じみている。それでも承認欲求を満たすためにあえてなのか狂人を演じ続ける。


やはり英国で最も知られた犯罪者の名にふさわしいその狂人っぷりはどうかしている。ここまで行くと例え有名になるためだったとしても十分にイカれている。


けれど、映画を見ていくうちに彼の行動は理屈にはあっていないが、感情の面では理解できないでもない不思議な魅力がある。(盗んだ指輪である事をしでかす所など)


ただ、欠点としては暴力描写は悪として描く映画ではないので、度重なる暴力がむしろ肯定的に描かれているようにすら感じられた。(彼の生き様そのものが暴力の肯定なのだから仕方ないが)


また他にも彼のアートの才能がいかほどだったのかちゃんとは描かれていない、またアートと真剣に彼は向き合ったのかどうかが正直分からないで終わっている。(まあ、暴力が彼のアートだとするのが一番分かりやすい結論だが)


折れない心の持ち主で、何があっても自我を貫き通すこの心意気は確かに素晴らしい物があった。(例え暴力に訴えていても)

 

総論としては過激な暴力が目につくが、真の目的のために心が一切折れていないその姿こそこの映画の真の魅力だと言える。ただそれを伝える手段があまりにも原始的な暴力という手段なのが難点といったところか。

放送はそれでも終わらないといけない 「ラヂオの時間」

放送はそれでも終わらないといけない。

ラヂオの時間

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あらすじは生放送のラジオドラマを控え、緊張気味のスタジオ。初めて書いた脚本が採用された主婦のみやこも、直前のリハーサルを見学していた。そんな中、突然主演の人気女優が設定を変えたいと文句を言い始める。困り果てたプロデューサーは、みやこに脚本の書き直しを依頼。だが他の出演者も口々に不満を漏らしはじめ、メロドラマだった物語は次第にアクションへと変貌してゆく。引用元 allcinema ONLINE


普通の主婦である主人公が、脚本を手がけた作品で、ラジオドラマに初参加することになるが、とある大物女優のわがままで脚本が変えられ、そこから雪崩のように脚本がねじ曲がっていくお話。


とにかく、業界の闇というかとらあえず、番組を成立させないといけないという展開が肝となっていて、少々強引な物言いは簡単に通ってしまうそれでいて、まだ素人同然の主人公にはどうすることもできない。これが雪だるま式に脚本が変えられていく。


このドタバタ劇が非常によくできており、今でも脚本の質は高いと思われる。ラジオドラマならではのその場その場での急場しのぎが非常によくできていて、綱渡りのように物語になっている。よくこんな放送事故ギリギリができるものだ。


急場をしのいだと思ったら、また脚本に穴が見つかってという具合に、物語が進むのはスリリングで面白い。これが畳み掛けるように襲いかかってきて、話がどんどんと膨らんでいく。


各キャラクターごとに見せ場があって、非常に困った役柄を演じている。特に大物女優のわがままっぷりはたまらない。


そしてそんな状態でもプロ根性を見せ、なんとか物語に決着をつけようとする姿には感動させられた。


現実の世界ではこんなに脚本をいじられることはないと思いたいが、実際にはどうなのか、わからないのが恐ろしい所だ。(流石にここまではないだろうが実体験が元にある話らしいので……)


とにかく、ラジオドラマと言う舞台の上で急場を強引に防ぎつつ、それでいて、ラストに向かってきっちり進んでいく物語として好感が持てた。

 

総論としては、とてもスリリングで楽しめる内容だが、これが実際に一部分でも起こって居ると思うとちょっと悔しくなる。監督に最終編集権利がないと言う映画業界の闇も思い出してしまう作品だった。

5日間の奇妙な物語 「なんだかおかしな物語」

5日間の奇妙な物語。

「なんだかおかしな物語」

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あらすじはうつ病の治療を受けている16歳の少年クレイグは、自殺願望が強くなったことに焦りを感じて精神科に駆け込む。5日間の入院を言い渡されたクレイグは、幼い娘を持つ男性ボビーや自傷癖のある美少女ノエルと出会う引用元 映画.com


16歳の主人公には家族も友達もいて、人生はまだまだこれからだけれど、うつ病で死にたくなり、精神病院に入院する話になっている。


この死にたくなった理由というのが、とても現実的な夏期講習や友人の彼女のことなど周りから見ればしょうもない事ばかりなのだけれど、主人公にしてみればとても重要なことばかりだ。いや、そんな言葉で表せるような簡単なものではないのかも知れないのがこの作品の真の表現したいことかも知れない。


そして、その精神病院で出会う人物たちとの奇妙な交流が実にいい味を出している。特にちょくちょく病室から抜け出しているボビーの言葉には考えさせられるものがある。(自分のようになるなというシーンも冗談半分で言っているが、やはり半分は本気で言葉に力が入っていた)


ボビーが引用されて使われるボブディランの言葉も実に良い使われ方をしている。


それでいて、ヒロインと言って良いノエルというちょっとパンクな女の子の独特の言葉使いや感性も素晴らしかった。とても独特の味わいを持った女の子を演じていて魅力的だった。このちょっと自傷癖のある傷ついた女の子をエマ・ロバーツが上手く演じていた。


元々はヤングアダルト小説として書かれた内容なので、とても見ていて爽快な気持ちにさせる内容で、この年代の不安定な心の揺らぎをよく表せているなと思った。本当に精神病院での独特の空気感描写はとても良かった。


ただ、悲しいことに原作者がよりにもよって自殺で亡くなっており、せっかくのこの感動を自身には向けられなかったのだと思うと悲しくなってくる。(映画の価値が下がるわけではないが居たたまれない)


それでも思春期の大人とも子供とも言えない独特の時期を上手く描きこんで、心の中をしっかりと描きこんだ一作には間違いない。

 

総論としては年齢対象がヤングアダルトに絞られているというよりもそれよりもちょっと大人の人に向けた作品で、日常の困難さは解決してはいないがそれでも前を向く勇気を与えてくれる良い映画だった。

ハードボイルドとはこういうことだ「グラン・トリノ」

ハードボイルドとはこういうことだ。

グラン・トリノ

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朝鮮戦争の従軍経験を持つ元自動車工ウォルト・コワルスキーは、妻に先立たれ、愛車“グラン・トリノ”や愛犬と孤独に暮らすだけの日々を送っていた。そんな彼の隣家にモン族の少年タオの一家が越してくる。ある事件をきっかけにして心を通わせ始めたウォルトとタオだったが、タオを仲間に引き入れようとする不良グループが2人の関係を脅かし始め……引用元 映画.com

 

妻に先立たれ、息子たちとも疎遠、唯一心許せるのはペットの犬と愛車だけという老人が主人公だ。


そんな孤独な男があるきっかけで、隣人の東洋人一家モン族のタオと交流が始まる。


最初の出会いは本当に最悪だったが、徐々に関係は深まっていって、友情と呼べるものになっていく。この過程が本当に素敵に描かれていて、孤独な老人の心が徐々に開かれていく。


しかしそんな主人公には戦争経験があり、長い月日が流れても、忘れることの出来ない体験が心に刻まれている。


それを周囲の人たちがどうにかしようと努力するが、どうする事も出来ない。


また主人公もその感情を素直に誰かに言えないでいる。(亡き妻から頼まれた神父が力添えしようとするが無下にしてしまう)


そしてもう年か体の具合も悪くなって、限界を迎えようとするが、息子夫婦に電話まではできても素直に体のことは言えない。


そういったディテールに凝った部分が強く、孤独な姿を映し出されている。


それでも周囲の人間関係は良好に保たれるが、最初のあるきっかけの派生である出来事はどんどんと大きくなる。


ここがこの物語の肝となる部分で主人公がとてもハードボイルドにカッコよく決めて来る。(この爺さんの逆鱗に触れてはいけないと画面越しに伝わって来る)


それでいて、物語ラスト、あるきっかけから始まったこの騒動は極まで達し、ある水準を超えてしまう。(ここは評価が分かれるところだとも思う)


そして、クライマックスの手紙……真の友情を感じさせられる内容になっている。

 

とにかくハードボイルドと言った感想で、好みによるが好きな人はとにかくハマる映画だと思う。そのくらいには出来栄えが良かった。

 

総論としては孤独な主人公にそれでも人生というものは交流を求めるのだと言った内容で、友情物語としてよく出来ていた。主人公のカッコよさも際立っており、終始渋いカッコよさに溢れていた。

メタファー満載の怪作 「マザー!」

メタファー満載の怪作。

マザー!

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あらすじは郊外の一軒家に暮らす一組の夫婦のもとに、ある夜、不審な訪問者が現れたことから、夫婦の穏やかな生活は一変。翌日以降も次々と謎の訪問者が現れるが、夫は招かれざる客たちを拒む素振りも見せず、受け入れていく。そんな夫の行動に妻は不安と恐怖を募らせていき、やがてエスカレートしていく訪問者たちの行動によって事件が相次ぐ。そんな中でも妊娠し、やがて出産して母親になった妻だったが、そんな彼女を想像もしない出来事が待ち受ける。引用元 映画.com


とにかく隠喩表現過多で、何にも考えないで見たら何が何だかわからない作品。それでもある事柄に当てはめれば強引には解釈はできる。


その事柄は殆ど誰しもが知っているある事柄で、あまりにも巨大なテーマに強引に入れこんだと言っても良い。


物語そのものはある意味ホラー展開と言っても差し支えしないが、それだけの言葉で片付けるのはもったいないか?


監督が何を撮りたかったのか考えれば、深いテーマの物語を隠喩を交えて撮りたかったのかと思うが一般の人にはとてもじゃないがオススメはできない。個人的にもオススメはしない。


自分自身もあらすじの隠喩表現くらいは理解しているつもりだが、完全には隠喩の意味を理解しているわけではない。そもそも隠喩表現が多すぎて捉えきれていない。


かなりある知識に差が出る作品でもあるし、知識があっても面白いと思うかは別の問題でもある作品でもある。(あった方が面白いと思うが)


色々な解釈が可能そうだが、この物語自体ある事柄のオマージュと言っても良いので、この事柄をよく知らない、もしくは知識が薄いと面白くはないかもしれない。


一見すると破茶滅茶な話になっているので、後から色々な解説を読むのも一興かもしれない。(他人の解釈を楽しめるタイプの作品ではあるかもしれない)


ただ、劇中通してイライラさせられっぱなしなのはあるかもしれないし、理不尽な展開が続くため、心地よいハッピーエンドが好きな人には勧められない。


ただかなり皮肉屋な観客はこの物語のオチ含めて、これぞ人間の業だと笑い飛ばせるかもしれない。(そういった見方もありな作品だとも言える)

 

総論としては隠喩表現をこれでもかというほど使い、お話を鈍重にさせて無茶苦茶な展開をあえて作り出した作品と言える。ショッキングなシーンもあえて計算で入れられていて、全ては監督の手のひらの上だとも言える作品で、イライラさせられるが、駄作ではないがかといって良作かと聞かれると答えるのに困ってしまうタイプの作品。とにかく不思議な作品だった。

素晴らしきストップモーションアニメの世界。 「コララインとボタンの魔女」

素晴らしきストップモーションアニメの世界。

コララインとボタンの魔女

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あらすじは好奇心旺盛な少女コララインは、引っ越してきたばかりの古いアパートで、封印された小さなドアを見つける。ドアの向こうには不思議なサーカスやミュージカルで賑わう異世界が広がっており、そこにはコララインのいうことを何でも聞いてくれる優しい両親がいたが、彼らの目はなぜかボタンでできていた。引用元 映画.com


まず、初めにダークな色彩の世界観、それを作り出す映像が本当に素敵だ。ストップモーションアニメ特有の動きによって作られた映像表現は見所満載だ。


まず骨格の動きからして素晴らしく、魅力的で、全ての動きという動きが豊かに動き、見ているだけでワクワクする。


そして、それにダークな色彩の映像が組み合わされれば、画面いっぱいにちょっと恐ろしいけれど魅力的な絵面が満開に広がってくれる。


それでいてストーリーも不気味でいてファンタジックで見ていて面白い。特に、パラレルワールドとも言える魔女の世界感は本当に映像として素晴らしい。また子供を魅了するすべ、そのものがこの作品の肝となっていてこちらも動きからして素晴らしいものになっている。


ただし、この魔女の力があまりにも強すぎて御都合主義的に見えなくもない。(本当の両親のくだりなど)


しかしそんな事よりも不気味さが上回っていて、些細な欠点は映像でリカバリーしている。

十分に魔女の恐ろしさも描かれているので、物語内での矛盾はないように思う。


そして、物語の流れもよく出来ていて、ある意味王道的な罠にハマろうとする話だが、それをさまざまな工夫で映像的に面白いものに仕上げている。


とにかくストップモーションアニメの動きがとても重要なファクターになっているのでそれを存分に生かした構成になっている。


キャラクターも映像的に映えるキャラクター造形がされており、極端なデフォルメがされていて、魅了的な映像作りに力を貸している。


総論としてはともかく、映像が素晴らしい作品である事は間違いなく、それをどう魅せるかが鍵になっている作品で、それを上手く王道のストーリーテリングで見せてくれたと思う。

戦闘シーンは良い出来栄え 「ネクストロボ」

戦闘シーンは良い出来栄えの作品。

ネクストロボ」

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あらすじはメイは生活のすべてをロボットに任せきりの母や友人たちと上手くいかず、孤独な毎日を過ごしていた。そんなある日、戦闘用ロボット7723と出会ったメイは、一緒に過ごすうちに友情のような絆で結ばれていく。メイのことを大好きになった7723は、限度のある記憶容量に彼女との思い出を残すため、ある決断をする。やがて、7723を開発したロボット会社が人類滅亡をもくろんでいることが判明し……引用元 映画.com


とにかく戦闘シーンはなかなか良い出来栄えで、後半戦のバトル展開などは十分に魅せてくれた。


映像も3DCGアニメーションとして良い出来栄えで、見ていて楽しいアクション満載だった。(特に犬のモモのアクションは可愛くて良かった)


ただ反面、バトルに至るまでの行動がやや御都合主義的で、正直無理矢理感が否めない。突然襲い来る敵に対して、暴走しているようにさえ見える場面もあった。(高速道路でのシーン)


また、主人公の女の子が行う行動がとても共感できるものではなく、破壊行動ばかり行っていて良いようには取れない。ただの八つ当たりにしか見て取れない。


また、ロボットとの友情物語を見せたかったのだと思うが、それを感じさせるほどの友情を物語内で見せ切れていない。


それでいて、重要な場面では説明台詞で解説しながら物語が進んでいき、正直どうなのって感じてしまう。


また、この世界の設定では身近なものは全て機械化している設定になっているが、やりすぎなぐらいな機械化になっている。これ自体はいいが、主人公はそれが嫌な訳だが、それにしてはこの物語の主軸である7723というロボットとの交流は上手くいくのはちょっと展開として、甘い気がする。


それでいて7723の設定で記憶を消去しないとメモリーに空きがないという設定があるが、ある見せ場のためにこの設定はあるが、その見せ場の後どうなっているのか説明がないため、この問題が解決したのかどうかわからない。


細かいことを言えばさらに、7723のメモリーの問題はツッコミどころが多く、なぜあれの削除でメモリーが増えるのか?それはもともとのスペックにあるから関係ないのではないかというものもある。


さらにこの作品では本当にロボットというものが「物」として扱われ、簡単に壊され壊しても良いという設定で描かれている。(実際主人公もガンガン壊している)


しかし7723だけは特別扱いされ、ヒーローのように特別視されるのかが上手く飲み込めなかった。


さらに言えば7723も簡単にロボットを壊すため、倫理観がロボットは悪で固まっているのが恐ろしいところだ。


反対に悪党側もそれを踏まえた上で、分かりやすいほど単純な二元論で善悪を語るので、全く感情移入できない作りになっていて、強制的に主人公の正しさが担保される作りになっている。


総論としては全体的に作りが粗く、せっかくの映像がストーリーによって妨害されているようにも感じられた。もう少し脚本をブラッシュアップさせてから製作に臨んで欲しいものだ。