HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

朱に交われば「日本で一番悪い奴ら」

朱に交われば赤くなる、少しずつ主人公の持つ正義というもののあり方が変わってゆく作品。

「日本で一番悪い奴ら」

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あらすじは大学時代に鍛えた柔道の腕前を買われて道警の刑事となった諸星は、強い正義感を持ち合わせているが、なかなかうだつが上がらない。やがて、敏腕刑事の村井から「裏社会に飛び込み『S』(スパイ)を作れ」と教えられた諸星は、その言葉の通りに「S」を率いて危険な捜査に踏み込んでいくが……引用元 映画.com


本当にあった事件を元にしているためか、ある意味リアリティはたっぷりとあった。少しずつ朱に染まってゆく主人公の登りつめてからの転落劇が見事。


それにしても悪の描き方が上手い。なぜなら、主人公サイドが徐々に悪に落ちていくから、バランスが良いからだ。


とにかくこの映画は主人公の変貌っぷりを楽しむ映画とも言える。本当に純粋に「正義」のために努力している青年が変わって行く様が素晴らしい。


序盤の先輩から教わった「正義」とは何かという問いを徐々に壊れながら進んで行くのはなんとも見事。


周りを固めるキャラクターも個性豊かであり、人間的に欠落がある人ばかりが上手く配置されている。それが主人公との相互作用を生み出しやすいようにキッチリ配置されているのも見事だ。


ストーリーは現実をベースにしているらしいが、本当に「悪」に満ち溢れている。それでも、自分は「正義」だと思いながら愚直に突き進んで行く様は異常で素晴らしい。


また、バイオレンス描写もエロ描写もなかなか激しいものがあった。ここは当然見所でもある。

 

また舞台が北海道というのもある意味重要で、内地と切り離された文化圏である感覚が見事に表現されていた。


そして、実話ならではの事件の真相を語って終わるが、これがなんとも隠蔽体質になって終わっており、ある意味、この映画らしく一番の巨悪は誰なのか?というものを見せてもいる。

 

総論としては徐々に道を踏み外す主人公の行動を描き続け、それによって得られる成功もあるが、そんな生半可な内容には仕上がっていない。転落劇としての終わり方と膿が出切っていない後味の悪いこの作りがなんとも良い出来だと思わされる作品だった。

美しき同性愛「キャロル」

美しい愛というものは性別に関係なく訪れるという作品。「キャロル」

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あらすじは52年、冬。ジャーナリストを夢見てマンハッタンにやって来たテレーズは、クリスマスシーズンのデパートで玩具販売員のアルバイトをしていた。彼女にはリチャードという恋人がいたが、なかなか結婚に踏み切れずにいる。ある日テレーズは、デパートに娘へのプレゼントを探しに来たエレガントでミステリアスな女性キャロルにひと目で心を奪われてしまう。それ以来、2人は会うようになり、テレーズはキャロルが夫と離婚訴訟中であることを知る。生まれて初めて本当の恋をしていると実感するテレーズは、キャロルから車での小旅行に誘われ、ともに旅立つが……引用元 映画.com


ある意味、偶然の出会いから始まる同性愛の物語だが、それを1950年代にして、レトロでありながら普遍性を持った恋愛物語に仕上がっている。

 

とにかくキャロルという女性の愛の力によって、物語は推進され、とても魅力溢れるキャラクターに仕上がっている。とても不思議な色気のしたキャラクターになっている。


しかし、キャラクターのリアリティや過去の造形には恐れ入った。LGBT映画において、「我が子」がいるというのは少し考えればあり得る話なのにそこをしっかりと描いていて奥深いものがあった。


それでも惹かれ合う愛情の美しさは映画内でも魅力的で、それでいて夫の目線からもキッチリ描かれており、LGBTに対するというよりも一つの愛に対して誠実に感じられた。


しかし、なぜ恋に落ちるのかの魅せ方が綺麗で愛おしい出来栄えだった。一つ一つの誘い方や見せ方が本当に上手い。

 

また、テレーズの演技が本当に恋する乙女で非常に可愛らしい。あまりにも可憐だ。仕草ひとつひとつが儚げで、彼女の撮る写真が彼女の心の内側を表していて、とても繊細な心情表現もこなしている。

 

また、物語内推進力が高く、一つ一つの事柄が印象的に配置されており、ストーリーの面もレベルの高い出来栄えになっている。


そして、物語の最後は非常に開かれた終わり方をしており、観客に解釈を任せる良い終わり方だった。

 

総論としては、非常にレベルの高い同性愛を描いた映画でいて、きっちりと恋愛映画として描かれており、出来栄えは良かった。特に、キャロルという複雑な人物像を非常に豊かに表現していて、見ていて心惹かれた。LGBTをしっかり映した美しい恋愛映画だ。

就活という通過儀礼「何者」

就活という一種の通過儀礼の物語。

「何者」

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あらすじは演劇サークルで脚本を書き、人を分析するのが得意な拓人。何も考えていないように見えて、着実に内定に近づいていく光太郎。光太郎の元カノで、拓人が思いを寄せる実直な瑞月。「意識高い系」だが、なかなか結果が出ない理香。就活は決められたルールに乗るだけだと言いながら、焦りを隠せない隆良。22歳・大学生の5人は、それぞれの思いや悩みをSNSに吐き出しながら就職活動に励むが、人間関係は徐々に変化していく。引用元 映画.com


五人の人物が就活に向けて、集団で対策するというのが軸であるが、この基本骨格がガラガラと崩れてくる。

 

とにかく彼らの関係性がなんとも微妙な関係性であったが故に、微妙に「内定」というものによって左右されるのはなんともまあリアルだった。最低でも就活をトランプのダウトだと言う例えが劇中でも出てくるが、それが絶妙にこの関係性を表しているようで、嘘と本当に満ちている。


というか就活という見たくない現実がありありと見せつけられ、リアリティある演出で、ある意味しんどくなる瞬間もあった。


SNS時代の演出が凝っていて、なかなかに厳しい心情表現になっていた。とにかく、メールアドレスから逆算して特定するとか気持ち悪い。

というか鍵垢で愚痴るか、それ専用のメールアドレスを取って、裏垢にするべきだろ……

 


そして、全員ある秘密があると言うか、その点が意外とビックリさせられた。ここの部分は上手いと思わされた。そういえば、そう言えばそうじゃないとおかしいのか……


主人公の性格の悪さはある意味、観客の視点であり、なかなか思うところがあった。ここを強力に魅せてくれるのは意地が悪いが、そこも面白みだからある意味良かったが、何度も見返したり客観視したりするのはキツイ。


ちなみに音楽担当の米津玄師さんは作品関係なく、現代性を象徴していてある意味、特別に感じた。

 

総論としてとにかく、就活という大きな流れの中で「自分」というものは何かという問いかけをしてる作品だった。意外と短い時間で、このキツイ現実を叩き付けてくるのは、上手い出来栄えだったとも言える。

実写化???「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」

まさかの本家の実写化作品。

スーパーマリオ 魔界帝国の女神」

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本当に配管工を主人公にして、スペクタルアクションを繰り広げる作品。というかオリジナル要素を取り入れつつも作ったパロディ映画の分類に近い。

 

設定は6500万年前に地球に隕石落下が起こりそれによって世界が二分割されたところから始まり、恐竜が知能を持った世界にマリオ御一行が迷い込むと言った内容だ。


この設定そもそもがおかしい。突っ込み始めたら画面内におかしなところしかない。例えば別世界なのに英語語がバリバリ通じるところやルックスがどう見ても人間にしか見えない連中がほとんどなところ、世界はどういう位置付けで宇宙に存在しているのかなど、なんの説明もなく完全にノリと勢いで進んで行く。


そんななか異常に活躍するのが、ルイージ!実質彼が主人公だろう。原題はマリオブラザーズだったからだろうが、ここまでカッコいいルイージは見たことがない。


まあ、もともと意味不明な話の実写化故に映像は無茶苦茶だ。フラワーやキノコがドラックの隠喩と言われるだけはある。最低でもこの映画を鑑賞している最中はそういった都市伝説を信じたくなるような頭のネジがぶっ飛んだ描写の数々ばかりだ。


しかし、話そのものはB級感満載の出来で、退屈させる事なく魅せてくれ、とても楽しませてくれた。単純明快かつ馬鹿げたアクションは退屈させることなく、画面いっぱいに走り抜けていく。


あと、最後のツッコミどころとしてヒロインはなぜかデイジーで、ピーチは出てきません。なぜ???

 

総論としては完全にふざけ切った作品で、マリオ好きなら激怒してしまうかもしれない描写のオンパレードだ。けれど、ひとつのパロディ映画としての完成度は馬鹿馬鹿しい程高いというかくだらなさすぎて素晴らしい。こういった作品は今後作られることはなくなる一方だろうから、歴史の闇の部分を見たくなったら鑑賞して馬鹿げた事やってるな〜と思うのがいいだろう。

圧倒的画面内情報量「犬ヶ島」

圧倒的画面内情報量とその美しさ。

犬ヶ島

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あらすじは近未来の日本。メガ崎市で犬インフルエンザが大流行し、犬たちはゴミ処理場の島「犬ヶ島」に隔離されることに。12歳の少年・小林アタリは愛犬スポッツを捜し出すため、たった1人で小型機を盗んで犬ヶ島へと向かう。引用元 映画.com


とにかく画面内の情報量とその内容の質の高さに驚かされるストップモーションアニメだった。


制作に四年もの歳月をかけて作り上げられた世界観はとにかく、魅力的な近未来日本に仕上がっていた。


内容は犬を巡ったある意味荒唐無稽な内容で、こんな話ある訳ないと思わされる設定に、ただただ「絵」の魅力で無理を押し通す。


それを可能にし、むしろその無茶苦茶さ加減を魅力とする手腕は素晴らしいとしか言いようがない。とにかくその世界観に圧倒され、魅了される。場面場面でのショットが本当にその空気感を作り出していて、物語に深みが出ている。


ストーリーはある意味、シンプルだが、話運びは軽やかだし、台詞選びも素敵なものが多い。また、アニメーションならではのコメディカルな演出や見栄を張るシーンが特徴的に盛り込まれていて楽しいところが盛りだくさんだ。


さらに日本映画リスペクトシーンが多々あり、監督が作り出したい世界観が本当に素敵に思えた。


キャラクターは個性的な面子ばかりで、とても良いし、感情の揺れ動きがバッチリ描かれていてこれまた良かった。また、マペット故のデフォルト化されたキャラクター造形が細い良い仕事をしており、愛おしい出来に仕上がっている。


また、画面いっぱいに散りばめられた魅力的な情報の数々がとにかくクスリとさせられる。ある意味情報過多だが、ここは好みが別れるだろうが何度も見たくなる出来だと思う。特に日本語で描かれている落書きの言葉なんかとても良い。


とにかく世界観が本当に独創的で、ある意味この世界感が受け付けないなら初めから無理な決して万人受けはしない内容だが、ハマる人はとことんハマる内容になっている。

 

総論としてはある意味、完全にぶっ飛んだ世界観を楽しめるかどうかに掛かってくる作品だと思う。近未来の日本のゴミの島で犬達が隔離されるという極めて、奇妙な物語を緻密に作り込んだ作品を面白いと思えるかどうかだ。

 

最低でも私には、ここまで作り込んだストップモーションアニメは製作陣の愛情を感じずにはいられない出来栄えだった。

 

最低主人公「デッドプール」

最低の主人公誕生??

デッドプール

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あらすじは好き勝手に悪い奴らをこらしめ、金を稼ぐヒーロー気取りな生活を送っていた元傭兵のウェイド・ウイルソンは、恋人ヴァネッサとも結婚を決意し、幸せの絶頂にいた矢先、ガンで余命宣告を受ける。謎の組織からガンを治せると誘われたウェイドは、そこで壮絶な人体実験を受け、驚異的な治癒能力と不死の肉体を得るが、醜い身体に変えられてしまう。ウェイドは、赤いコスチュームを身にまとった「デッドプール」となり、人体実験を施した張本人のエイジャックスの行方を追う。引用元 映画.com

 

下ネタ満載でやることなすこと最低な主人公が、第四の壁をぶち破りながら戦って行く。この品性のなさが気に入らない人にはとにかく無理だろうが、ノリと勢いは最高に良い。

 

低予算らしく、アクションで魅せれるシーンが少ないらしいが、それでもかなり脚本を練っており、弾丸の数も計算に入れた戦いは良かった。

 

また、なんといってもキャラクター性が素晴らしく、とにかくはちゃめちゃな男を演じつつ、それでいて奥行きのある決して軽くない人物像に仕上がっていた。

 

主人公の彼女以外というかXメンチームから連れてこられたキャラクターたちはあまりキャラは立っていないというか、完全にデッドプールが食っている。

 

ストーリーの根幹は復讐劇で、一応はぶれる事なく進んでいくが、デッドプールの面白さが所狭しと溢れている。

 

ここまで、魅力的なキャラクターは珍しいだろう。本当に第四の壁をぶち破っていながら綺麗に話を進めてくれている。またネタの宝庫かと言えるほど、無駄にキャストの黒歴史にも触れ、びっくりさせられる。(会社違うが大丈夫なのかと思うほどだ)


そしてギャグのような展開の連続だが、根底にあるヒーロー誕生譚としての完成度も高い。信念のある一人の人物としての側面もキッチリ描かれている。これがまたカッコいい……

 

ラストはあっさりしているが、こってりしたキャラクターから生まれるラストとは到底思えないほど綺麗にまとまっている。

 

ちなみにある意味何も考えずに見て楽しいタイプの映画でもある。馬鹿にしているのではなく、いい意味で!

 

総論としてはこれはキャラクター映画であって、ヒーロー誕生映画でもある。その二つの絶妙なバランスを荒唐無稽な男が本当にやってのけるのが凄い。一歩間違えれば、映画ごと吹き飛んでいただろう企画を成功してみせたスタッフは本当に素晴らしい。

見た目≠心「ワンダー 君は太陽」

見た目では分からない優しさが詰まった一本。

ワンダー 君は太陽

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あらすじはごく普通の10歳の少年オギーは、生まれつきの障がいにより、人とは違う顔をもっていた。幼い頃からずっと母イザベルと自宅学習をしてきた彼は、小学5年生になって初めて学校へ通うことに。はじめのうちは同級生たちからじろじろ眺められたり避けられたりするオギーだったが、オギーの行動によって同級生たちは少しずつ変わっていく。引用元 映画.com


設定は「普通」の10歳の少年の物語。そう、見た目以外は…………


そんな彼を中心に5年生の始まりから終わりまでを描いている。正直、とてもシンプルな映画で、心地よい暖かさを与えてくれる一本だった。


目に見えるものが全てではないという事、友達という大切なもの、誰かを傷つけるという事、そういった道徳的な事柄が説教臭くなく自然に伝わる物語になっている。


というよりも主人公の役割が大きいように見える作品ながら脇を固めるキャラクターの個性が強い。

 

母親、父親、姉どの人物を取ってみてもキャラクターに物語的な必然性があるし、どのキャラクターも魅力的な配置をされている。また、友達付き合いがどれだけ難しいかも脇のキャラクターを通して伝わってくる。(ここでいう脇のキャラというのは姉の友達も含むから、この作品の奥行きの深さには驚かされる)

 

そして、観客は物語の根底に流れる優しい感情に包まれて行く。その内容が本当に素敵で、とても可愛らしい。ついでに道徳的でもある。


ただ、かなり穿った見方をしてしまう自分もいるので、こんなに現実ではハッピーにならないと勝手に思い込んでいる自分もいた。(映画なのだからそんなの気にしなくていいはずなのに……)

 

ともかく、1本の映画の中のクオリティとしてはとても高いものがあり、リアリティも十分にある。特殊メイクもバッチリ決まっていて、なんとも言えない「表情」に仕上がっているし、それを「演技」してみせるのは流石だとしか言いようがない。

 

総論としては全体を通して、若干子供向けの道徳的な映画ではあるものの根底にあるものは優しさであり、十分大人の鑑賞に耐えられるものになっている。むしろ大人が干渉する方が日々の無意識的な差別を感じられるかもしれない。

ただ、少々優しすぎる結末だと言えるかもしれないと感じる意地の悪い私のような奴もいるので、割と万人向けだが、現実の実情を鑑みて、良く見てみてほしいと思った作品だった。