HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

もう二度と読めない大好きな漫画について

存在するから価値があるとされる。当然、存在しなければ、どのような物にも価値などない。存在しなくなった100万円よりも財布の隅にある1円玉の方が価値があるのは至極当然の事だ。

 

では、すでに存在しなくなったものについて語る事は価値などないのだろうか?

答えは分からない。存在した断片だけでもあるのなら価値はあるのかもしれないし、存在の中心がなくなったのなら価値などないのかもしれない。

ただ、個人的にどうしても語りたいから、語るのだ。そして、これは私が好きだから語るのだ。

 

これは10年前の話。当時私はこの作家を知らなかったし、作家とはまだ呼べない人だっただろう。2007年4月赤丸ジャンプに掲載された「100ドルは安すぎる」という漫画は「ジャンプ十二傑新人漫画賞」に選ばれた。この作品の設定はアメリカの開拓時代の場所が舞台で、保安官になりたい賞金稼ぎの少女が「マイナス100ドル」という不可思議な賞金首の謎を解いてほしいとバーテンダー兼推理屋の男へ依頼する。というもので、完全にジャンプ向けのないうえに、残念ながら出来がすこぶる良い短編だった。この漫画の作者は「山本かずね」注目してほしい作家はこの人だ。

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正直この「100ドルは安すぎる」は入手方法がある。昔の赤丸ジャンプなんて、漫画好きならなんとか入手する手段くらいあるだろうし、出版部数的にも入手難易度はそこまで高くない。(なんなら、国立図書館で副書すればなんとかなる)

 

問題は、この作家を知った、2011年5月期MGP(マガジングランプリ) 佳作

恋と夜をかけろ」 作者「山本かずね」だ……

はっきり言って、この作品は最高だ!!!天才的に、短編としての構図を分かっていてそれでいて、はっきりとした力強さのある作品だ。ただ、唯一もう読めないことを除けば……

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設定は馬鹿っぽいディストピアもので、学力なんて言うものより、恋愛至上主義に教育が一転した、世界の中、主人公が、「学ぶ」というこの世界では禁じられた行為を行うというものだ。

 

これが、とにかく名作なんだ。私の語彙能力の低さで語り切れないのが残念だが、とにかく設定がディストピアともギャグとも取れる一方で、ある意味思想的迫害を描きつつ、この世界の「」を描き出している。

 

主人公の学問への思いは正直、少年誌で受け入れられはしない設定だろうし、読者層が量子力学に思い入れがあるとは思えない。例え、宇宙が終わる時間が学問に分かるとしても、荒唐無稽なヒーローの活躍の方が人気が出るだろう。

 

とにかく、この作品もう読めない。マガジンがwebでの佳作作品をどうにかしない限り……

 

でも、良いこともあった、この作者はてっきり漫画業界から出て行ったと思っていたが、デビューから10年ついに単行本を出していたのだ!!!

 

タイトルを「星明かりグラフィクス」という。

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もう諦めていた作家が、実は活動していたなんて、この記事を書かなければ知らなかったからなんというか感無量だ。

 

結論として、この記事はとても個人的な思いから書き始め、とても個人的な喜びで幕を下ろした。(星明かりグラフィクス、面白いから買ってね)