HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

センスの「自殺サークル」とリアリティの「自殺サークル」

自殺サークル」という作品をご存じだろうか?

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2002年の日本映画の映画で、「園子温」監督作品。(R-15)

ストーリーは、新宿駅のプラットホームから54人の女子高生が手を繋いでいっせいに飛び込み、自殺するところから始まる。それをきっかけにありとあらゆる場所で、集団自殺が巻き起こっていくというお話だ。

 

正直、この映画はビジュアル面では最高に良い映画だ。最初の集団自殺から始まり、かたっぱしから常人では考えられない死に方(自殺)を見せてくれるからだ。本当に奇抜で、面白い反面リアリティが微妙だ。

女子高生の日常会話などは現実味があるが、それをそのまま自殺に結び付けるのは難しい。例えば、「学校マジめんどい、あ~あ~死にたい」と言った台詞は直接的な「」を連想する言葉としては使用されないのが、現実だ。ただ、この映画では本当に死んでしまう。それ「映画」として見るには楽しく、娯楽的だといえる。ただ、反対になぜこの人物が死に至ったかというロジックはない。テーマとして、気軽に死ぬ。

という、不謹慎極まりないものを扱っているが故なのか、とても気軽に見れてしまう。リアリティがないため、ゴア描写として割り切って観れてしまうのだ。ただ、そのスタイリッシュな自殺方法は映像として面白く、ただのPVだと思って鑑賞すると、素晴らしいセンスを感じる映画だといえる。

 

ただ、この作品を語るうえで、問題になってくるのが、「古屋兎丸」著のコミカライズ版同名作品「自殺サークル」だ。

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こちらは、映画の冒頭の設定を借りてはいるが、ハッキリ言って全くの別作品と言っていいほどに「自殺サークル」という題材を現実的に昇華している。

もっと言うなら、映画版はあくまでエンターテインメントだったのにたいして、こちらは本当に「自殺を行うサークルが誕生した経緯」を多少オカルト的な側面はあるもののしっかりと描き出してしまっている。

つまり、映像として面白かった「自殺」に「理由」をしっかりと書き込んでしまった、作品だといえる。

 

内容は、新宿駅女子高生集団自殺事件の唯一の生き残りとなった少女とその親友を中心に、再び行われようとする集団自殺を中心に話は進んでいく。

この、唯一の生き残りの少女があまりにも魅力的に描かれている。それは死という救済に向っていくカルト的な魅力なのだが、これが「漫画」だからできるリアリティを存分に出している。(実写ではどんな美少女が演じても、あの向精神薬を処方されるのを待っているような眼はできないだろう)

 

その、狂った魅力、カリスマ性が極に達した時、「自殺サークル」という社会的に悪とされるようなものが、成り立つ事に現実味が生まれてくる。これは、怪談のようなホラーではなく、すぐそばにある見たくない現実を可視化してありありと見せてくる。

そして、終わり方も映画とは全く違う終わり方というか、あまりにも綺麗に終わりすぎていて、怖くなるほどによくできている。(映画と違って!!!)

 

本当に作品として、ロジックとして、きちんと「集団自殺」という重すぎるテーマに向き合ったのが、漫画版だと思う。