HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

生きている実感 「ファイト・クラブ」

生きている実感が湧くのはどんな時だろうか?

私は「映画」という虚構を見て過ごしている時に味わうのだが、そんな私に殴りかかってくる映画がある。この作品は簡単にはちょっと語れないくらいには思い入れがあるので、序盤の主人公の心情だけを語っていこう。

 

その映画のタイトルは「ファイト・クラブ」だ。

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この物語はとても平凡な会社員である「僕」は、特に不自由ない暮らしを送りつつも、生きている実感がまるで満たされず眠れなくなってしまう。そこで、精神科に睡眠薬を貰いに訪れるが、医者は「僕」の症状を鼻で笑うかのように「この世にはもっと、苦しみに満ちた人がいる」と医師に冗談半分で、末期ガン患者や難病を抱えた人々が集う場所を教えてくれる。ここから「僕」は偽の病人になり、本物の悲しみを共有する。そうすることで、涙し、眠ることができる。

 

これが、本作の序盤であり、死人のような空っぽの感情を動かす原動力なのだ。つまり、生き死にが本当にかかった人々と共に過ごすことで、涙でき、生きる実感を借りる事が出来るのだ。本当にどん底の人間の感情表現として素晴らしいものがある。

 

全ての社会的な「物質的」「消費的」幸福を手に入れても、何にも満たされていない「僕」は精神の幸福のため、他者の悲しみを啜る事でようやく生きていると表現されるのは本当に素晴らしい。ファイト・クラブの書かれた時代が世紀末だったのもあってか、幸福とは何かを誰もが探し求めていたようにも受け取れる。

 

特に、自分ではなんの感情も存在できないから、他者の苦しみすらも感情を動かす燃料にしないと生きていけないというのは自殺寸前の人間模様を描き切っているように感じる。

 

前に紹介したハロルドとモードでも「葬式」で他人の悲しみを感じるというシーンが存在するが、根本的には同じものだろう。

 

結局、総論として言いたい事は、この映画のDVDのラベルにも記載されている。

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【警告】このDVDを手にしたあなたこそが、この警告を必要としていたのです。
あなたがこの無駄な警告を読む一秒一秒、あなたの人生の大切な時間が奪われているのです。他にすることはないのですか? この時間をもう少し有意義なことに使えないのですか? あなたの人生はそんなに空虚なものですか? それともあなたは権威を表す者を誰しも尊敬、信用してしまうのですか? あなたは読むべき書を全て読むのですか? あなたは考えるべきことを全て考えるのですか? 欲しいはずだと言われる物を全て買うのですか? 部屋を出ろ! 異性に会え! 過剰消費もマスターベイションも止めろ! 仕事を止めろ! けんかを始めろ! 自分が生きていることを証明しろ! 自身の人間性を主張しないと腐敗していく有機物でしかない。注意はしたぞ!  タイラー