HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

筆舌し難い作品 「シェイプオブウォーター」

制作が決定されてから、今か今かと待ち続けた「シェイプオブウォーター

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あらすじ

1962年、米ソ冷戦時代のアメリカで、政府の極秘研究所の清掃員として働く孤独なイライザは、同僚のゼルダと共に秘密の実験を目撃する。アマゾンで崇められていたという、人間ではない“彼”の特異な姿に心惹かれた彼女は、こっそり“彼”に会いにいくようになる。ところが“彼”は、もうすぐ実験の犠牲になることが決まっており……。シネマトゥデイ

という突飛というか、子供向け映画のような設定だ。だって未開のジャングルの奥地に住むエラの神様「ギル神」のお話であるからだ。

だが、この馬鹿げた話を少年期に、この怪物に恋をした馬鹿なオタクがどうしても作りたいという純粋な欲求から作られた作品でもあった。

 

まず、主人公が美しいとは言えない。(十分に美しく見えるシーンはあるがいつも何かに怯えていて、本来の意味での不細工というのが当てはまる人物だ。そんな主人公は政府の特殊施設に掃除婦として働いており、そして口が聞けずとても未来が明るいとは思えない。

 

また友人兼同僚の黒人「ゼルダ」は主人公の変わりにまくし立てる。盛り上げる役としても、現実感を引き立たせるにも素晴らしい役割を示している。

 

最後に味方チームのやさしき隣人「ジャイルズ」との奇妙な共同生活とおそらく彼のジェンダー的な問題が原因で2人はここにいるのだろうとも思えてしまう。(ただの絵の上手い善人かもしれないが……)

 

次に、悪役の「ストリックランド」見事に存在感のある悪役と徐々に正気を削られる描写は素晴らしい。また、基本的に悪とは言っても彼が全ての悪の中心ではないのも素晴らしい。

 

敵か味方か「赤」の「ホフステトラー」博士が存在する。彼は理知的かつ物語内の板挟み、胃薬をボリボリかじりながら解決するタイプだ。

 

さて、最後まで謎のままで終わる小説版ではエラの神、「ギル神」である。醜く、醜悪で、偏見を顔に貼り付けたような見た目をしいている。

 

そんなキャラクターたちが繰り広げるのははっきり言って、恋愛だ。「怪物」と「主人公」の間の恋には物理的に、そこには厚いガラスの壁と大量の水と見た目の問題がある。

 

けれど、恋は盲目とはいったもので、彼女は彼を本当に愛してしまう。まるで悲劇の童話のように。これが童話ならキスをして幸せに暮らして終わりなのだろうけれど、そうは簡単には行かせてくれない。 

 

それでも、怪物の美しさというべきか、気高さみたいなものを感じさせてくる。

 

そもそも今までの物語は、どんなに醜くても愛すればを美しく生まれ変わるというちょっと何いっているのかわからないのが普通だったものをあえて、こういう風に進歩させたのは素晴らしい。

 

また、本作で、最も語りたい点は、キャラクターの美しさもさることながら、水中での浮遊シーンだ。あのシーンは本当に美しく、ただただ綺麗で、あの瞬間誰の「怪物」などいなくなる。序盤の建物の中に入っていくシーンなど最高だ。

 

また、何故、彼女が「怪物」に恋をしたのかというロジックはある意味彼女の中ではどれだけ周りが変わろうともどうしようもないコンプレックスだったのだろう。それを「怪物の王子様」が颯爽と現れて、「美しくない王女」を救い出した話と私は見ている。(お互いに救いあってはいるが)

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と、ここまで、褒め続けてきたが、正直、最高の映画かと言われると首を傾げてしまう。(アカデミー賞クラスかと言われると……)

もっと面白く、もっと過激に、最もロマンスをと、数日彼らのことを考えてしまうくらいには影響力のある作品だった。もう一度読み返して、パンフレットもじっくり読み、書籍版も手を出してみよう。