HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

正義とは「徘徊老人 ドン・キホーテ」

正しさとは何か?それをこの漫画は徘徊老人になってしまった主人公が説いて回る作品になっている。

それが「徘徊老人 ドン・キホーテ」だ。

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内容はかなりキツイ現代風刺になっており、2000年代に書かれた作品だが、十分現代でも通用する根本的な醜さと対峙している。

 

基本構造はドン・キホーテと同じく妄想との戦いなのだが、全てが比喩的で、とても嘘だからと片ずける分けにはいかない。

 

また、絵柄は人を選ぶだろうが、そのタッチの荒さゆえに、作品の性質と見事にリンクしており、個人的には味があると思っている。

 

そして、ストーリーは基本的に解決するかというと、どうにも言えないオチを辿ることが多いが、それがリアリティを生み出していて、良い味を出しているとも言える。

 

また、妄想の戦いといったが、比喩的な戦いであり、とても勝ち目のない現実に朦朧した老人がどう戦いを挑むのかというのもキチンとしたストーリーになっている。

 

そして、ラストに向けてキチンと伏線を回収しつつ妄想は極を迎えるが、それは周囲をも巻き込んだ惨劇となり、勇敢に戦うのは老人ただ一人となってしまう。

 

特に、救いを何に見立てているかや、自分の罪をどう捉えるかなど、真剣に考えさせられるテーマが多い内容になっている。

 

かなり突っ込んだ話になっており、宗教観や現実でのあり方を真剣に説いてくる作品だと個人的には思っている。

 

人気の出るタイプの作品ではないが、根っこの部分はとてもしっかりしており、誰が読んでも最後には良い読後感が味わえる作品だと思う。

 

偶然読むことになった一冊だが、たまにこういう偶然から名作と出会うこともあるから古書というものはあなどれない。

 

是非、機会があれば読んでほしいと思う一冊だ。(ただし、結構辛い内容になっている点は留意しておいてほしい)