HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

生き物って食べて良いの?「金魚王国の崩壊」

生き物を殺して、食べる。命をいただく。屠殺し、解体し、不味い部分は捨てる。お腹がいっぱいなら生ゴミになる。そんな現実を直視した時に読んで欲しいのが、この漫画だ。

WEB漫画「金魚王国の崩壊

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あらすじは主人公はお祭りで、金魚をすくい育てることにしたが、そのときからいつも自分が食べていた魚やお肉が食べられなくなってしまう。

 

漫画のタッチは可愛らしいながらどこか影のある人物の描きこみで、なんとも不気味に仕上がっている。

 

かなり子供の主人公設定なのだが、だからこそ子供が納得の出来る哲学で、生きるものすなわち「」を奪う権利を考えさせてくれる。

 

ただのベジタリアンの話ではなく、植物の命まで織り込んで話を繰り広げるため、なんとも壮大なテーマに果敢に挑んでいる。

 

これがなんとも上手い。生命のテーマを子供ながら真剣に考え、それ故に、空腹に耐えきれない自己や人間という生物にまで拡大してこの理論を考える様はWEB漫画ならではの領域だろう。

 

また、先生が語る人間が動物よりも優れている点の話など、単純な頭蓋骨の容積の問題ではなく、理論的かつ効果的に身体性を評価しているあたり、単純な語りではないのがうかがえる。

 

友情関係や生物の死や学校という空間をとても微細に書き込んでおり、とても好感が持てる作品に仕上がっている。

 

また、主人公の空想世界で代理戦争として人間と金魚たちとの争いが繰り広げられ、これが物語のタイトルとテーマに由来している。また、ライオンはシマウマを食べるのはいいのか?と言った自己の問題についてもこの代理戦争のテーマの一つとなっていて漫画的に上手い仕掛けになっている。(人間は唯一食物連鎖の外にいて、ルールを守っていないと考えてしまっている)

 

ここから人間は愚かかどうかの問題を真剣に考えており、いや生きるに値するかどうかまで考えていて、答えを本気で出そうと努力している、とても挑戦的作品と言える。

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惜しむなら、少々更新が止まっており、ちょっと切れ目の悪いところで終わっているが、一区切りはついている名作と言って良いほどにはちゃんと作られている作品なので、ぜひオススメしたい一本だ。