HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

設定の素晴らしさ「この世に私の居場所なんてない」

序盤と設定は良かったが・・・

この世に私の居場所なんてない

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主人公は、ほんの少しこの世界に絶望していた……そんなある日、自分の家に強盗が入り、金目のものが盗まれてしまう。ただ警察は特に動いてくれる様子もなく、ただ戸締りを気を付けてというばかり・・・そこで、自分で犯人を見つけ出そうとして行く……


この主人公のほんの少しの絶望が何とも共感させられる。スーパーの棚の物を落としても拾わないだとか、レジを先に割り込まれるだとか、読んでいる小説のネタバレを聞かされるだとか、ほんの些細な事なのだが見せ方が上手く少しずつ心が摩耗していく様がよく描かれていた。


そしてその日常の絶望の最後に「強盗」という心のキャパシティを超えることが起きることで物語的にドラマが始まっていくが、そこからがちょっと問題。


正直にいうと序盤に物語的な設定が終了してしまっているし、後半に行くにつれて軸がブレにブレてしまっている。特に終盤では現実で起きれば被害者と言えるかもしれないが、一生モノのトラウマがさらりと流されている。(トラック)


全体を見ると序盤の設定を早く回収しすぎた為に、下手に別の話をぶち込んで、グチャグチャにして御都合主義でまとめた印象。

 

だが、本当に序盤の演出というか、リアリティのある確実な絶望は素晴らしい。普通に生きていて感じる絶望そのものをキッチリと描いていて共感させられる。

 

一方で、終盤に向かうにつれて、日常の絶望から映画的な絶望へと変化していき、それがせっかくの前半のリアリティを壊してしまっているように感じた。

 

もちろん終盤もハッキリと悪いわけではないのだが、前半と後半で悪い意味で味が違いすぎるというのが私の見解だ。

 

総論として、前半というか序盤からの大したことないちょっとした絶望の積み重ねが極に達するまでの流れはとてもよく、変わった相棒を見つけるまではとてもよく出来ていたが、後半に行くにしたがって、日常からかけ離れていき、悪い意味で映画的な演出になった作品だった。