HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

私が消える……「アリスのままで」

「私」が消えてゆく物語。

アリスのままで

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あらすじはニューヨーク、コロンビア大学で教鞭をとる50歳の言語学者アリスは、講義中に言葉が思い出せなくなったり、ジョギング中に自宅までの道がわからなくなるといった事態が続く。やがて若年性アルツハイマー症と診断され、家族の介護もむなしく、アリスの記憶や知識は日々薄れていく。そんなある日、アリスは記憶が薄れる前に自らパソコンに残したビデオメッセージを発見し、自分が自分でいられるために、画面の中の自分が語ることを実行しようとする。 引用元 映画.com


主人公の設定が若年性アルツハイマーである事。つまり徐々にしかし確実に自分という大切な記憶が消えていく感覚を描いた映画だった。


主人公の職業を言語学者にしたのも演出的に見事だったが、それよりもとにかく演技の幅が素晴らしかった。


始まりは50歳の誕生日から始まり、とても聡明な学者としてキャリアも家族も全てを手に入れた女性として描かれているところからの物語の振れ幅……演技・演出の動きが本当に素晴らしい。


特にキーになるアイテムが、現代的で、ビデオチャットのシーンは印象的だ。特に自分へのビデオを残すシーンなんかはとんでもない仕掛けだと思う。


そして何よりこの作品。ある意味、現在の観客の状況によってはかなり刺さるものがある内容になっている。


アルツハイマーは今も進行を止めることのできない難病で、どうしようもないものだから、観客の家族に重なるところがあるかもしれない。最低でも私はあった。


物語は淡々と進むが、かなり重苦しい。特にスピーチの場面なんかは本当にこの映画が言いたかったことをしっかりと言っているようだった。


ただ、最後の答えは観客の手に任せたような作りで、そこはちょと物足りなかった。

 

総論としては自分というものを構成する「記憶」というものが消えていく。という事を追体験させれれる映画だった。それは自我の崩壊でもあるが、「私」がそのままでいるためにしなければいけない大切な事を教えてくれる映画でもあった。

 

また、それは「私」だけでもなく家族や大切な人にも言える事だと感じさせられる一本だった。