HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

血は水よりも……「万引き家族」

血は水よりも濃いのか?

万引き家族

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あらすじは東京の下町。高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしていた。彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。引用元 映画.com


家族のつながりは血が最も大事なのか?そんな事を考えさせられる一本でした。正直タイトルにある「万引き」というテーマは薄く、それよりもそういった行動に出なければならないほどの貧困から発生した疑似家族物であると思いました。


つまりはこの作品は家族愛の物語で、個々のキャラクターの本質は常に家族の方向を向いていて、その為に生きているようにも感じました。


もちろん、万引きの巧妙な手口やそれによっての代償は物語中で発生しますが、やはり家族映画だと思います。


弱者の寄せ集めでしかない、世間から目を背けられた人々の最後の砦としてあるこの空間はとてもギリギリのラインで保たれていました。


それ故に、ある瞬間から物語は決壊し、家族は崩壊の方向へと進んでいくことになります。


それが物語的に綺麗に終わりなんとも言えない終わりを味あわせてくれます。

 

キャラクターの造形は本当に嫌なほどリアルで、社会の底辺にいる大人二人はほとんど日雇い労働で、それだけでは食っていけなく、生きる為に「万引き」を行なっていきます。

 

そして、彼らは人として欠落した人間などでは決してなく、罪悪感を抱えながら細々と生きています。正直、彼らの視点を無視して彼らを悪だと簡単に言えないところがあります。そして物語はゆっくりとしかし確実に疑似家族である彼らのなかを繋いで行きます。

 

それは本物の家族にも言える事柄で、とても優しい視点で語られて行きます。しかしこの関係は初めから不確かなものの上に成り立って、いるという事を明らかにされて行き物語は崩壊へと進んで行きます。

 

それは初めから想定されていた事柄で、分かりきっていたことのはずなのにどうしようもなく、一気にガラガラと音を立てて崩れて行きます。

 

総論としては「万引き」という分かりやすい犯罪行為をタイトルに使用していますが、それはそのレベルの犯罪に手を出さないと生きてはいけないということの表れで、本質はそれに集う疑似家族の物語だと感じました。血は繋がっていなくても繋がっているものはあるのだと感じさせられる一作でした。