HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

戦争という日常「この世界の片隅に」

戦争の中での日常を独特の空気感で描いていく作品。この世界の片隅に

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あらすじは第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常を生き生きと描く。昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すずは、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。それでもなお、前を向いて日々の暮らしを営み続けるすずだったが……。引用元 映画.com


この作品はジャンル的には戦争映画の分類に当たるだろうが、その中でもかなり特異な非戦闘員の日常の目線で綴られる。

 

ストーリーが嘘だと、脚本が偽物だと、キャラクターが実在しないと信じられないほどそこにいる実在感がする作品で、本当に目の前にいるようだ。


主人公はかなりのんびり屋さんなすずさんが、お嫁に軍港の街「呉」にお嫁にいくことから始まる。


そこからなんともゆったりとそれでいて、戦火の足音も聞こえてくる不思議な世界観が綴られていく。本来なら恐怖のど真ん中なはずなのにどこか優しげな雰囲気で存在感を放っている。


この作品は戦争を主人公のすずさんのゆったりとした視点で見ていくことになるが、これがとてもいい味を醸し出している。あくまで、一視点からしか戦争を捉えていないからこそ、この空気感が作り出されていると言える。


すずさんの可愛らしくそれでいてたくましい生活は見ている人に勇気を与えるが、それが戦争によってゆっくりと着実に追い込まれていくのはなんとも言えない。特に徐々に真綿でしめられるような日常の限界から、ある地点に到着し、全てが吹き飛んでしまうのはなんと例えればいいのかわからない。


あの時代、戦争讃歌が当然の時代。その中の特別ではないだろう物語がとても胸にくる作品。きっとすずさんのような人は特別な人間ではなくて、たくさんいた人のうちの中の一人だと思い知らされる。

 

それ故にラストの終わり方のあっけなさと涙、それと子供の表現の使い方……全てが見事で文句の付け所がない。

 

総論としては自分の言葉では表しきれないほどの作り込みが素晴らしく、本物を見せつけられたようだった。それでいて嫌味ではなく戦争とはこういうものだということを伝えている作品でもある。特にすずさんの存在感は本当に本物だとしか思えないほどで、そこにいるようだとしか思えない。

 

今後、完全版が出ると噂されているが、是非映画館に見に行きたいものだ。