なりたい自分へ。
「レディ・バード」
あらすじはレディ・バードと名乗り、周囲にもそう呼ばせているクリスティン(シアーシャ・ローナン)。高校生最後の年に看護師の母マリオン(ローリー・メトカーフ)と進学先を決めるために大学見学に行くが、帰りの車中で地元のカリフォルニア州サクラメントから離れて都市部の大学に進みたいと言ったことから大げんかになる。それ以来、母と衝突を重ねる一方、親友のジュリー(ビーニー・フェルドスタイン)とも疎遠になってしまう。引用元 シネマトゥデイ
レディ・バードなんてふざけた名前を自分自身でつけて、それでここではないどこか遠く、そうNYとかそういった煌びやかな場所に行きたい少女の話。
物凄いほど現実感のある夢追い人の話に見て取れた。それが青春の苦さでもあるのかもしれないが、本当にほろ苦い。
反対に現実の描写は年頃の女の子が話しているとは思えないほど、下ネタ満載で、カトリックの学校ではありえないほどキツいものが繰り広げられている。(子供が見れないくらいにはぶっちゃけトークが続く)
それでいて高校最後の年、ありとあらゆるイベントごとと大学進学というどうしようもない問題が重なってやってくる。
ここの描写が本当に現実味たっぷりに描かれていて、大人への階段を上るための一種の通過儀礼込みで片っ端から映画の中で見せつけてくる。
コメディ的な要素込みで、物語は着実に進んでいくが、この進み方もリアルでたまらない。特に後半の彼氏のエピソードなんかこの雰囲気はなるほどといった感じ。
それでいて、コメディ一色だったこの話が実は鬱や9.11などの影に隠れたブラックなものだったことに気づかされる作りになっている。
特に最後に至るまでの過程では親子のあり方について考えさせられる内容になっていて素晴らしかった。特に母親からの目線はとても深い内容になっている。
総論としては前半のコメディパートの部分が後半シリアスになって行くにつれて、徐々に伏線めいて来るのはなるほどと言った具合。親友との交友関係や親子との話し合いがかなりリアリティたっぷりに描けている作品だと感じられた。