HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

現実からの逃走資金 「百万円と苦虫女」

現実からの逃走資金。

百万円と苦虫女

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あらすじは短大を卒業後、就職もできずフリーター生活を送る鈴子。ひょんな事件から家族の元を離れ、100万円を貯めるごとに引越しを繰り返す生活を始める。様々な人との出会いを通じ、鈴子は少しずつ人の心の温かさに触れて成長していく。引用元 映画.com


現実に追いつかれないための逃走資金としての100万円とそれを持っての点々と町を移動する様はまさに逃走劇。


何から逃げているのかは、きっと現実からなのだろうが、その儚げな様子が目に見えて伝わって来る。傷だらけで逃げる彼女には何が見えているのか追って行くことになる。


最初はなんてことのないルームシェアの話から、自分の中の逆鱗に触れる所から始まる(ここの理由は共感しやすい)


逆鱗に触れたことから居場所がどこにもなくたってしまい、やむなく逃避行を始めることになる。


ここの映画的描き方はとても良かったが、100万円たまるスパンが少々早すぎる気もする。(1年で何回貯めているか考えると)


現実からの逃避行は上手くいくわけがないが、とても魅力的に見えてしまう。それが本作の魅力の一つだろう。リアリティラインはここで引かれているように感じた。


誰も自分の事を知らない町に行きたいという願いは時が経過するごとに叶わなくなり、徐々に現実に引きずり込まれる。


主人公の独特の表情が、実に苦虫女と言った具合で、息苦しい表情を見せる。これがまた絶妙な表情で良い。

 

それでいて、一つの町が終わるごとに傷つき、そして成長している様が感じ取られ、青春映画という側面もある。

 

そして、人と人との関わり方が徐々に描かれていて、拒絶のみだった主人公の内面に徐々に受け入れる余裕ができてきているのがわかる。


終わり方も爽やかで後腐れなく表現していて良かった。少々あそこで一悶着あってはちょっとしつこいだろうから。

 

総論としては傷だらけになりながらも人と人のコミュニケーションをしっかりと描いた作品だと思う。ディスコミュニケーション込みでだが。それでいて主人公の何面も映し出しつつ、しっかりと物語に落とし込んでいた。