HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

秘密は何よりもの愛憎「あるスキャンダルの覚え書き」

秘密は何よりもの愛憎。

あるスキャンダルの覚え書き

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あらすじはアメリカで実際に起こった事件を基に、41歳の陶芸教師と15歳の教え子の禁断の愛を描いたゾーイ・ヘラーによる同名小説の映画化。2人の愛とその終焉が、事件の当事者で逮捕された41歳の陶芸教師シーバの同僚で親友のバーバラによって語られていく。引用元 映画.com


オールドミスのベテラン教師が、新任の美しい美術女性教師と出会い、秘密を握り、その関係をしたたかに構築していくサイコスリラー。


物語は女性教師と労働者階級学校で教えている15歳の少年との淫行現場を目撃し、その秘密を軸に物語は進んでいく。


この秘密が軸となっているし、実在のモデルとなったであろう事件も存在している。しかし、この映画はその秘密そのものよりも主人公のオールドミスがその秘密を利用し、そこから相手の内側に入り込む事がメインになっている。


この二人は対照的で、オールドミスは主人もいなく、友人もいなく、労働者階級で、来学期は定年が決まっていて、唯一の救いは誰にも打ち明けるつもりのない日記と猫だけだ。


若い女性教師の方は歳はとっているが、インテリな夫と娘とダウン症の少年がいて、遺産で手に入った邸宅で暮らしている。(ダウン症の息子のせいで、10年育児に振り回されていた)


この、女性教師がある意味では温室育ちで、芸術家肌で、良い母であろうとし続けた。そして、一息つき学校の教師になったというある一定の幸せがあるという前提で、物語は始まっている。


秘密に行き着くまでは非常に面白い独白で綴られる。日記の内容がところどころナレーションで入れられて、女性教師はどういう人物か、周りの同僚からどう思われているか、教師としての資質はあるか?と言った具合に場面ごとに心情が伝わってくる。


これがとても辛辣で皮肉的だ。そんな中で、あるきっかけで女性教師を助ける事になる。そこから関係性は深まっていく。


日常会話や労働者階級学校での生き方、を教えて行く。そしてある日家にまで、招かれ、友情を深めて行く。(彼女の家庭環境を残念がっていたが)


そして、秘密を知ってしまう。


それからが素晴らしい。単純に校長なりなんなりに訴えるという手段を取らず、その秘密を共犯者として守る事で、永遠の「借り」を作ろうというのがこの物語だ。


そこからは主人公の思うがままだ。学校に突き出さない代わりに、少年と別れを告げる事を条件として味方してあげる。(ここでの弱り切った者への優しさが本当にいい味出している)


その後、物語は秘密を軸にまだまだ揺れ動くのだが、基本的には主人公のこの誰かを自分の友情以上のものとしようとするところにクローズアップされている。


週末にコインランドリーにしか行く予定のないような孤独な人生を生きてきた、赤裸々な告白とともに、異常なまでに強く誰かに執着しようとする様は凄まじい。


孤独は十分に人を狂わせる。それを癒す為には本当になんだってやってのけてしまう。


この孤独な老女の独白がもの凄く苦しく、辛いものであるのがありありと分かってくる。


しかし十分に主人公自身も狂ってる。人の弱みにつけ込み作り上げた交友関係は愛憎入り混じり物語は終わる。


個人的には、ある種のサイコスリラーだが、あのオールドミスの孤独があまりにも恐ろしく書かれすぎていて、悪を悪として見られなかった部分がある。

 

総論としてはある種の関わってはいけない人の話しながら、孤独の辛さ持たざるものの危険さを知らしめてくれる作品でもあった。それと同時にその危険さがとても奥深く、底知れなさを持ったものとして痛く胸に刺さった。