HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

戸田誠二という漫画家について

戸田誠二という漫画家について

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もともとWEB漫画を自身のサイトに公開していたところから、デビューが決まった作家で、主に短編を得意としている。今でも作者サイト「COMPLEX POOL」は見ることができ、そこで秀逸な短編を読むことができる。是非気になった方は読んでみてほしい。この頃から商業誌で通用する作品群を作り出している。

 

この作者は人の人生を扱った題材の作品を多く出版しており、どれも奥深い物がある。といか、とある人生のある一面を描くのが非常にうまく、数ページの短編でその人の人柄をうまく表現している。

 

この人の作品は人の感情を揺さぶられるような強いテーマを本当に短編で描きこみ、それを読み込まさせてくる。説教くさいような内容も当事者の気持ちを本当にうまく書き込み、表現してさせている。そう、当事者の感情を描くのが本当にうまい作家で、日常の些細な感情の機微をうまく表した作品が多い。(コメディ的な作品も書くが、これも日常の中の一面を表現したような作品だ)

 

特におすすめの一冊は音楽と漫画と人」という一冊だ。

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この作品はその名の通り音楽、漫画、そして人がテーマになっている作品で、2ページごとに話が構成された短編の集合体となったかなり形態としては変わった作品だ。(なかなか商業誌ではこのサイズで掲載されることがないため)

 

だが、このサイズ感で一編ごとのクオリティがとても高く、読んでいて音楽が人生に寄り添っているものとして上手に描かれ、人と人を結んでいく様を見事に漫画という形態に落とし込んでいる。

 

特にこの人の作家性を表している短編がある。「シメキリ」というタイトルの短編で、ある漫画家が、一か月、30ページで一人の人生。1年で12人の人生それも生涯のほんの一片しか書けないと思いながら、自分が死ぬまで書き続けたときに何人の「架空の人生」を書けるのか?と夢想する話だ。これが戸田誠二という作家の精神性なのだと思う。

 

「架空の人生」を見事に描き切るのがこの作家で、人生に悩み落ち込んだ時にキーワードとなるようなものを短編に落とし込んで描いているのが本当に見事だ。