HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

好きになるって何?「やがて君になる」

好きになるって何?

やがて君になる

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あらすじは好きを知らない少女が出会う、一筋縄ではいかない――女の子同士の恋愛 恋する気持ちがわからず悩みを抱える侑は、先輩・燈子が告白を受ける場面に出会う。誰からの告白にも心を動かされないという燈子に共感を覚える侑だが、やがて燈子から思わぬ言葉を告げられる。「君のことが好き」引用元 Amazon

 

いわゆる百合ものと言われるジャンルの作品だが、ハマってしまった。正直そこまで興味のないジャンルであり、抵抗はなかったが、触れる機会がなかったからだろう。

 

映画では普通にLGBTものはたまに見るが、漫画でがっつりとハマったのは初めてだ。(今期のアニメの放送が影響だが)

 

それまで百合のイメージは現役女子高生で、両親は何故か海外出張で、大人がほとんど存在しない、甘ったるい恋物語だとばかり思っていた。(これらは日常系作品の特徴といった方が正しいか)

 

しかし本作はまず、共学校であり、そこの生徒会での物語で、普通に親や大人や男性も存在する。そんな中で、完璧に見える次期生徒会長候補の先輩に好きになられるというものなのだが、心理描写が素晴らしい……

 

というか、男性向けの漫画の友情・努力・勝利とは真逆に位置するような儚いこの感じは今まで読んだことのない感覚だった。

 

特に好きになる理由があなたが私を好きにならないからというロジックなのもなんとも言えない。本当に乙女心という奴をしっかりと書いている。それでいて、各キャラクターごとの背景、心理描写が上手いこと表現されている。

 

例えば、生徒会の一年のある男子生徒は完全に観客・読み手と同じく、ある恋の物語を俯瞰し楽しむというスタンスを取るというのも主人公達の恋に男性が入り込まないように工夫されている感じとか面白い。(作者のコメントを見ると女子高にせず、共学校にしたのは、男性も選べる環境の中、彼女を選んだことに意味を見出して欲しいというものらしい)

 

また、この物語の一番の注目点が、主人公が好きという感情を知らない・分からないという点だ。先輩に告白されても、キスされても好きという感情にはならない。この独特の感性が良い。読んだことのない主人公の目線だ。

 

それ故に、主人公の振り回される姿や自分を好きでいてくれることの喜びと自分には理解できないその感情への嫉妬のような歪な感情が良い。

 

物語の根本のストーリーラインは王道をしっかりと意識しながら、全体の心理描写を綺麗に描いていて素敵だ。特にLGBTの描写の独特さはなんとも言えず、個人的には知らなかった世界を知った感覚が物凄くある。こういう文化があるらしいというのは知っていたが、表現方法や丁寧な比喩や演出が見事で、自らが漫画読みとしてまだまだ見解が狭いという事を実感させられた。

 

良い一作に巡り会えたが、アニメ版の方がどこで終わるのか気になって仕方ないのはもうしょうがないか……