HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

感動と御都合主義の押し売り。 「世界から猫が消えたなら」

感動と御都合主義の押し売り。

世界から猫が消えたなら

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あらすじは脳腫瘍で余命わずかと宣告された30歳の郵便配達員の青年の前に、青年とそっくりな悪魔が姿を現わす。悪魔は青年に、大切なものと引き換えに1日の命をくれるという。電話や映画、時計など大切にしてきたものが次々と失われていく中、青年は元恋人と再会を果たし、かつての思いや別れの時を思い出していく。親友や疎遠になった父の思いに触れ、亡き母が残した手紙を手にした青年は、人生最後の日、ある決断を下す。 引用元 映画.com

 

宮崎ジブリ続きだったが、ちょっと激怒したため、これを……


まず初めに30歳の主人公が末期の脳腫瘍になるところから始まるが、ここのファーストリアクションから無理だった……(あえての演出だし、後からそうではないと伝えられても酷い)


即入院レベルだが、最後まで割と普通に行動していて、頭痛がするシーンが数カ所あるだけと本当に死ぬのかと思うほど。(末期の脳腫瘍ならいつ死んでもおかしくないはず)


そこから、この物語のキーである主人公と同じ容姿をした悪魔(仮)が現れて、明日お前は死ぬと告げれらる。そして、この世から何かを消すたび一日だけ生き延びさせてやるという契約を結ぶ。


この設定は悪くない。悪魔との契約ものは昔から人気のあるジャンルだ。


ここからネタバレも含むので、注意。


まず消えるのが、「電話」だ。

ここで、本作のヒロインである元彼女とのエピソードに入るが、ここは正直御都合主義だと思う。家で映画を見ている時に、電話がかかって来て、電話を取り、一時停止ボタンを押す代わりに音量を大きくしてしまって、そのせいで見ている映画を当てられ、その後の展開をつい彼女が言ってしまう事から交友が始まるというもの。


まず初めに、「電話」を取る前に、映画を一時停止しないか?次に、ボタンを押し間違えるか?そしてネタバレを食らって好意的に取るか?最後にそれが間違い電話で、同じ大学の生徒であるとか突っ込みどころが多すぎないか?


この元彼女と「電話」がなくなる日にデートをする事になるが、大学時代の彼女が別れた後も彼氏の母親と交流があった事がわかる。(普通は無いと思うが……)


その日の夜、一気に電話というものが消える。ここの演出、スマホが溶ける様子や公主電話が爆発したかのように消えたり、ソフトバンクの看板がバタバタと音を立てて文具店の看板に変化するのは良かった。


しかし、ここで重要なのはこの物語では「電話」がその瞬間からこの世から消えるのではなく、存在そのものが過去から消えてしまうという設定だ。


演出としては彼女と間違え電話がないため、出会わないということのになるのだ。主人公の記憶以外では付き合った事はなかった事になっているため、元彼女にあっても誰ですか?という扱いを受けてしまう。


正直、ここで「電話」というものの重要性について考えてみよう。簡単に言うと歴史的出来事に間違いなく関わって来たものであり、過去の改変は想像がつかないレベルで起きているだろう。


例えば、主人公が郵便局勤めてなのだが、斜陽にある手紙といった連絡方法がより進歩した世界が作られているだとかだ。(ちなみに本作品では大規模な過去改変は描写されない)


このあたりで、回想シーンが入るのだが、主人公の幼少期に段ボールに入った捨て猫を拾ってくる描写があるのだが、母親が猫アレルギーだと言う理由で戻していらっしゃいという至極真っ当な意見を言うのだが、「猫」の可愛さで結局飼うことになる。そしてクシャミをしていた母親も時間が経てば猫アレルギーが発生しなくなってしまう。この間3分にも満たない。猫アレルギーなめてるの?それともクシャミは演技か?子供に嘘ついたのか?飲み込みづらいだけの演出はカットしろ……


さてお次は「映画」がなくなるという事だ。はい、24時間で12本観て死ぬか……

とはならない。ここは親友との出会いの喪失、「映画」によって繋がれていた友情がなくなるという場面。ちなみに人生で最期の一本を親友に選んでもらおうとするが、親友は結局選べないで終わる。まあ、ここは可も無く不可もなくといった具合だが、個人的にはここで死を選ぶなと……


次に時系列がかなり変則的だが、元彼女とアルゼンチンに旅行に行っている時期の描写で、トムさんという日本人のバックパッカーと楽しげに交流しているが、その彼との別れの時に彼が交通事故で、すぐに死んでしまいます。ここで物思いにふけりながら観光名所のイグアスの滝に行って「生きてやるー」と元彼女は泣きながら叫びます。きっちり観光名所は巡るあたり、トムさんがどうでもいい人という主人公達の冷徹さが垣間見える良いホラーシーンです。絶対にこいつらトムさんの事で、日本大使館に連絡入れてないな……


ちなみに説明はなかったですが、ここで「時計」がなくなります。そして主人公は時計屋の息子であることもハッキリと明言されます。


はい、御都合主義ですね。主人公の親の職業が変わっておいて過去の改変は起こらないとは思えないですし、そもそも「時計」という存在が消えれば人類史が書き換わってくるでしょう。もちろん本作はその辺はノータッチです。


そして最後に「猫」が消えます。ここで、また回想に戻り母親が病気で死にかけていること、そして幼少期に拾ってきた「猫」が弱り、死んでしまいます。そんな時にチラシから「猫」の引き取り手を探しているのを知って、新たに「猫」を飼い出します。そして、喜ぶ母親。


その後、病気の母親を連れて旅行に行くのですが、どの旅館も満員です。もちろんこの世界には「電話」がないので、前もって予約を入れておくことなど出来ないので、病気で車椅子の母親を連れて何件も旅館を巡ります……あれ、回想だから「電話」があっても良いような……


ここから涙の押し売りが続きます。

最終場面では、母から手紙が届き抽象的で婉曲的な良いこと「げ」な事が書かれています。


そして、母親との記憶を思い出し、ピンぼけした写真、最期だから手が震える父親、母親の「猫」への思いを映し出します。(ここが感動ポイントですよー)


そして主人公は「猫」を消さないと悪魔に言い、悪魔は自分だと言います。


そして、朝になると「時計」が映り、「映画」のポスターが映り、「電話」があります。「猫」もいます。


そして、主人公は痛いポエムを言いながら父親に遺書を届けに行きます。


ラストカットは主人公の生まれた瞬間に父親が、「ありがとう、生まれて来てくれて」と言って終わりです……


結局、夢オチかよ!!!!!

しかも、途中、親友と元彼女の反応が変なのは説明なしか……


さらに言うと、死んだ母親が元彼女に手紙を預けていたのはまだ良いとしても、二匹目の「猫」は父親が内緒で拾って来たって……


それって「猫」は死んでも代替え品が効くって事かなぁ?そうすると最後の痛いポエムである僕のちっぽけな世界の影響の重要性と言うテーマが揺らがないか……


なんというかこの痛いポエムの内容も母親が死んでいる30歳の哲学としては子供っぽ過ぎるし、手紙書くくらいなら父親と話し合えよ……脳腫瘍は夢じゃないんだから。ラストが明るく終わっているけど、物理的にお前の明日は本当に保障されてないんだぞ……

 

それと猫じゃなくても、「電話」「映画」「時計」のない世界って文化的社会生活が送れないレベル……