HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

天才が才能を全力で趣味に振り切った作品! 「風立ちぬ」

天才が才能を全力で趣味に振り切った作品!

風立ちぬ

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あらすじは幼い頃から空にあこがれを抱いて育った学生・堀越二郎は、震災の混乱の中で、少女・菜穂子と運命な出会いを果たす。やがて飛行機設計技師として就職し、その才能を買われた二郎は、同期の本庄らとともに技術視察でドイツや西洋諸国をまわり、見聞を広めていく。そしてある夏、二郎は避暑休暇で訪れた山のホテルで菜穂子と再会。やがて2人は結婚する。菜穂子は病弱で療養所暮らしも長引くが、二郎は愛する人の存在に支えられ、新たな飛行機作りに没頭していく。 引用元 映画.com


飛行機は好き、空を飛びことが好き、けれど戦争は好きにはなれない。そんな自己矛盾を抱えたまま、全力で描かれる世界観は監督の自己主張全開で、描きたいものを思いっきり描いている。


そこには一種、子供アニメ制作者だったプライドを捨て、自己の世界を表している。


一種、作り手讃美でもあるが、作っているものが、たとえ夢の道具でも現実では人殺しの道具になっているという悲しい現実もある。


空を飛ぶことに命をかけるのは映画の中では美しいが、それは戦争に加担していることにもなる。


そんな自己矛盾と絶えず、戦い続けた。

その記録がこの物語であり、フィクションの皮を被った自己投影作品と言える。


飛ぶことに情熱を燃やし続けた監督だったが、これほどまでに緻密に飛行機への愛を語った作品もないだろう。


また、飛行機の持つもう一つの面にもきちんとスポットを浴びせていて、あんなに大量に作った飛行機は片道切符で帰ってこない悲壮感もある。

 

また、恋人の描き方も淡白で、そっけない感じだが、これが監督にとってのリアルなのだろう。いや、作り手にとっての理想の妻の造形かそれとも監督の実話を元にした妻のあり方か?


また、声については本当に趣味の領域で他人がとやかく言うのは野暮だろう。たとえ誰がなんと言おうとあの声でないとダメなのだ。(彼の声をしてるのは監督の中では彼だけなのだ)


監督の趣味と自己主張の果てにある創作への賛美と苦悩がこの作品にはある。

 

結論として膝を叩いて面白いと言うような作品ではなく、ジブリ的ではないが、とても宮崎監督らしい映画だった。空を飛びという人間に許されているのかいないのかわからない夢を華麗に見せてくれる作品で、とても力強い意思を感じ取った。

 

監督引退作品と銘打っていたが、どうやら風向きがまた変わったらしく、何度目かの監督引退詐欺になるがファンとしては嬉しいことだ。