HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

ほっこりする良作!「大家さんと僕」

ほっこりする良作!

「大家さんと僕」

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手塚治虫文化賞短編賞受賞と70万部越えの帯に惹かれて購入を決めた作品。とにかく世界観がほっこりしていて暖かい。主人公のお笑い芸人のカラテカの矢部さんと大家さんの80代のお婆さんの掛け合いが良い。

 

このお婆さんが本当に良い味わいを出していて、こんなに上品な人柄で、接してくれる人は今時珍しいと言える人柄だ。それでいて、天然のとぼけっぷりが素晴らしく、愛おしい。実に可愛らしいお年寄りだ。

 

それでいて、その大家さんに振り回されると言える主人公の矢部さんもかなり変わっていて、独り身特有の感覚と内向的な性格をあわせ持っている。この感受性が悪くない物語を描き出している。漫画の絵は上手いとは言えないが、なかなか悪くない出来栄えになっている。

 

そんな二人の関係性を覗かせてくれるのがこの本だが、過激な内容とは程遠い物で、ゆったりとした世界観で、二人の世界を作り出している。ここで、大家さんの世界観を時代遅れだと言ってしまわない矢部さんの優しさを感じられるし、尊重しあっている二人の関係が愛おしい物に思えてくる。

 

年齢からくる世代間ギャップやお年寄り特有の物の言い回しがこの物語のキモになっているが、これを嫌味なしに表現しているのが実に良い。

 

内容はほのぼのした内容がずっと続き、シリアスになっていそうなところもゆったりと流れていく。実に優しい内容が続いている。

 

基本は暮らしていく日常の些細な出来事を語っていくのが続くが、これがなかなかに面白い。大家さんの生活がかなりユニークな物で読んでいて面白いというのが実際にある。

 

しかし年齢が年齢なので、大家さんの生活がちゃんと暮らしていけるのかというのが後半は感じてしまったが、読み終わった後で、調べるとこの大家さん……もう亡くなっているのが分かってしまった。

 

大きな賞を受賞した後に亡くなったのが、悲しく、みじかな人が亡くなったような感覚を味わってしまった。

 

良い本だったが、寂しい思いもしてしまった。でも良い本なのは間違いなく、もっと読まれるべき本だと思う。良作だ。