HAL8192のモノリス達

何故、自分がポンコツになったかを嬉しそうに語る。

伝説の短編集再び! 「浅野にいお短編集 ばけものれっちゃん/きのこたけのこ」

伝説の短編集再び!

「浅野にいお短編集 ばけものれっちゃん/きのこたけのこ」

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浅野にいおと言えば有名漫画家だが、久々に短編集が発売された。そして出来栄えも相変わらず人間の奥底に眠っている嫌な感情を逆なでするようなものばかりだ。

 

表題作である。ばけものれっちゃんはスクールカーストをもろに打ち出した異常な作品であるし、読んでいてその絵のうまさも相まって精神的にえぐられてくる。

 

もう一つの表題作であるきのこたけのこは某お菓子メーカーのジョーク戦争を現実化したもので、かなりの迫力がある。パロディの域を軽く超えている。かなりきつい内容なっている。

 

浅野にいおという人物が作る作品全体に言えるが、凄まじい画力とともに内容の奥深さが合致している。

 

このなかでかなり可愛らしいのはふんわり男というサントリーとのコラボ企画で三度違った内容で味わえる作品があり、読むごとにモノローグの抜き差しが変わり、印象がガラリと変わると言うのでこれはブームにはならなかったが、新たな漫画技法のひとつとして良く出来ていると思う。ふんわり男の精神性が最後まで見えないのが何とも言えず面白いし、結論もあっけなく終わるのも悪くない。

 

そしてとしのせという作品が何とも言い難い内容で、甘えられる最後の年というか大人と子供の境目のワガママに付き合うこの感覚が愛おしい。可愛らしい一作だった。

 

誘蛾灯という作品も言いたいことが言えない感じがすごくする作品で、田舎と都会での差みたいなものを強く感じた。

 

Dについてはノスタルジックの塊で良い悪いでは語れない内容だった。

 

さよならばいばいはこの年齢で兄弟のあり方を再提示してみせるなかなかいにおさんらしい痛い作品で好みだった。ちょっと読んでて苦しいぐらいがこの人らしい。

 

TEMPESTは老人ディストピアものだが、ここまで露骨ではないにしろ今まで色々な媒体で書かれてきたものの集合体であったので、そこ設定は印象には残らないが、やはり画力の面で素晴らしさを感じずにはいられなかった。

 

夏の匂いは魔法少女を二度殺すは主人公の嫌なリアリティとチャラいもの彼と、ああもう読んでいて痛々しさが伝わってきて、辛かったが良かった。

 

最後にひまわりだが、ちょっと昔の設定だが、これまた苦しい。失った悲しみは八つ当たりでは消えることはなくてでもどうしようもない感じがただただ悲しい作品だった。

 

総論として浅野いにおという作家は優れた才能を持っているが、精神が不安定な時に読むべき作家では絶対にないということが再認識させられた。かなりきついものがある作家だ。露悪的趣味満載と言ってもいいだろう。